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Like a Star -3-

Like a Star -3-

Lunar Lakes


(ベロナール様…温かい手…少し皮膚が固くなってるところがあった…。
でもタトゥーがすごく綺麗で…爪も整えられてて…。)


“プロの手”だった。


(会えて嬉しかった。でも、まだ、遠い…。)

(それでも…“かわいい”って言ってくれた…!
ベロナール様が真っ直ぐに見て…ライカのこと、かわいいって言ってくれた…!)





 

 

(…わかっとる。あんなもんはただのスターの気まぐれや。)

(あ?ライカのやつ、テレビ点けっぱなしで出かけたんか。)

『引き続き 大曲芸師ベロナールの“ロマンスの達人”のニュースをお送りします
一人目のロマンスの相手となった“エラ・カーライル”は自身の経験を活かした官能的かつ
ドラマチックな作風が読者に絶大な支持を受けている受賞作家でもあり……』


(どういうことや…!あの後すぐに生涯願望達成に向けて動き出したってゆうんか。
ライカを見て心変わりもせんと…会わすのが遅かったんか……!?)

「どみちゃん、ただいまー。」
「おぉ、遅かったな。」 「うん、授業のあとちょっと釣りしてた。」

「どみちゃん…テレビ、見た?」
「…あぁ、ちょっとな。」
「作家の“エラ・カーライル”ベロナール様の初めてのロマンスの相手だって…昔なにかで読んだの。
きっと、ベロナール様にとって忘れられない人なんじゃないかなって…。」

「ベロナールは女としか関係を持たへんやつか…?」「…知らないっ。」
「は?うそつけ。ストーカーばりにベロナールのこと知っとるお前が。」
「…そういうの気にしないって…言ってた…。」
「知っとるやんけ。」

「だって…!!考えたくないんだもん!ベロナール様が男の子と一緒にいるとこなんて…。」

「ライカ、ちょっと話がある。3階まで一緒に来い。」

「今日から2階の風呂とトイレは俺が使う。お前は3階の風呂場使え。」
「えーーー!!ライカ2階のオフロ派手で好きなのにぃー!!!」
「うっさい。今まで共用で使ってたんがおかしいねん。
そのかわりこの3階のフロアはお前が好きに使ってええから、そのアヒルとおもちゃ持って部屋入れ。」


「気に入ったか?」
「うん…ありがとう…ライカのベッドうれしい…!オレンジ色きれい…すごく感動してる…。」
「ねぇねぇ、どみちゃん!ライカ、あひるさんたちにお名前考えた♡ライカが買った
あひるさんは“Lちゃん”でね!どみちゃんが買ってくれたにっこりお目々のあひるさんは“Dくん”♡」

「…なんでベロナールの名前やないねん。」
「え…ライカ…ベロナール様にお風呂見られるの…恥ずかしい…。。」

「はぁ???(俺の名前つけたアヒルはええんか…!?)」

「本当にありがとう♡ライカの好きな色覚えててくれて嬉しい!どみちゃん大好き♡」


「…お前の好きなもんは情報として俺の記憶に記録されてるだけや。
そうや、帰って来たとこで悪いけどな、公園まで付き合ってくれるか。下で待ってる。」
「はーい…?公園…?」

 

「ビデオカメラ!」
「そうや。それで俺の演技を録ってくれ。」
「ライカ、ベロナール様録りたい♪」
「…俺で悪かったな。」

(今はまだ大曲芸師たちの足元にも及ばん。勝手に選ばれとったこのキャリアに
ここまで本気になるとも思わへんかった。)

「…って、おい!お前、録ってへんやんけ。」
「どみちゃん…ライカ、ローラースケートしたことない。してみたいなぁ…。」
「…ちょっとだけやぞ。」

「なんで俺までやらなあかんねん…はぁ。」
「どみちゃん、その衣装のまま滑るの?すごい上手い本物のひとみたい!」
「お前それ、なんかの競技と間違ってへんか?」

ええぇえええ~!どみちゃんなんでそんなにイキナリ滑れるの~!」

「曲芸師舐めんな。こんなもん、上手いやつの見とったらわかるわ。
ほら、ずっと手摺り磨いてるつもりか?教えたる。」









「おい、陽が暮れてきてるやんけ。ライカ、もう帰るぞ。」
「あ!どみちゃん待ってぇー。」

「どみちゃん、晩ごはんにライカの釣ったお魚料理して♪」
「あーなに釣ってきたんや?」「サーモン!と出目金!」
「出目金……はええわ。グリルドサーモンにするか。」
「デザートはねー、キーライムパイ♡」
「は?お前まだ自分で作られへんのか。」

「えへへ…あ!そういえば!あれから腕時計見つかった??」
「いや、どこやったかさっぱり思い出せん。」
「じゃあ、ご飯のあとライカももう一回一緒に探すね!」「おー、頼むわ。」

 


Starlight Shores

「ごめんなさいね。新作の草稿を送るのを忘れていて。すぐに終わるわ。」

「別に急がんでもええよ。どうせ朝からテレビも見てへんのやろ?
しーちゃんのロマンスの話題ならもうお腹いっぱい見たし聞いたし。」

「…そう。そうね。見てないわテレビ。」

「…怒ってるの?オフィーリア。」
「怒らへんと思ったん?この家でしたの?ここの書斎の奥のベッド?それとも上?」
「…そう、上のゲストルームよ。」
「ベッド買い替えて。」
「いいけど…あれけっこう気に入ってるのよ?」

「ねぇ、オフィーリア。あなたに怒る権利があるの?
私は全部知ってる。あなたの芸名の“エリアル”も、そのタトゥーのモデルも、
初恋の女性が由来だって。それでも私はそれもあなたなんだと思って受け入れて来たわ。
大スターのあなたが忙しい合間を縫って会いに来てくれることが嬉しくて…。」


「去年のクリスマスのヤドリギの下のキスのことも知ってるのよ。」

 

「オフィーリア、彼女にそれ以上の気持ちが今でもあるのなら…」


「もう、ここには来ないで。」

 

「ちょ…え…!?オフィーリア…???」
「…っいや!いやや!エラ…なんで、なんでそんなことゆうの!?私が怒ったから?
恋人ぶって…いや!そんなん嫌!ごめんなさい…っ」
「なに、なにを謝ってるの…私は責めてなんかないわ。」

「ちがう…ちゃうの…アリエルちゃんのこと、ほんまはもう終わってたのに…!
ヤドリギの下でキスを受け入れてもらって…。」

 

「そう言われてわかった…。アリエルちゃんがどれだけアル兄ちゃんに深く愛されてるか。
わたしがどれだけ家族として大切にされてるか。」

「でも…アリエルちゃんを好きなままでおりたかったの…。
エラにはわたし以外にも他に寝てる人がおるから…うまく行かなくなってもわたしだって
アリエルちゃんを忘れへんかったから仕方ないって…そうやって…逃げてた…!」

「…やから…ごめんなさい!エラがそんな風に思ってたんも
こわくって確かめられへんかったから…ごめんなさい…。」

「エラのことが好き…好き…!!誰にも渡さへん…!
でも…でも…ねぇ…ほんまはわたしよりしーちゃんの方が好きなんやないの…?エラ…!」

「シャーロットが聞いたら怒るわ…私が彼女に背中を押してもらったの。
まったく…驚くじゃない。こんなに泣くなんて思いもしなかったわ。
ね、他にも寝てる子なんてもう随分前からいないのよ。」

「私からもごめんなさい。私が不誠実だったわ…。
あなただけよ、オフィーリア。
私をあなたの恋人にして。そしてわたしの恋人になって。」

「エラ…ええの?ほんまにええの?わたしめっちゃめんどくさい女なんやから…。
それだけやなくて、いっぱいパパラッチがここに毎日来るんやからね…?」
「ふふ…めんどくさいのなんて知ってる。パパラッチは今回の報道でもういっぱい来てるわよ。」

「好きなだけ撮ればいいわ…ねぇ、オフィーリア…。
私の可愛いひと…もう我慢出来ないわ。抱かせて…。」

「ん…エラ…すき…いっぱい、して…。」

 



「こんなにゴツいのにすごく軽い…未来の素材なんかな…。」

しーちゃん!!!

「あ、ふーちゃん♪ おかえりー。エラのとこにお泊りやったん?」

「もうショア中の噂や!知らんぷりするつもり!?なんでロマンスの相手をエラにしたん!?
しかも!クリスマスのキスのこと、エラにゆうたのしーちゃんやろ!」

「ふーちゃん~ごめん~!だって、一番最初っから駆け引きすんの面倒で嫌やってん!
エラやったら協力してくれるかもって…それだけやのー!」
「へぇええええ~ひとの好きな女といまさらまた寝といて“それだけ”やって!?」

「じゃ、目ぇつぶって!歯くいしばって!どつかれる覚悟くらいしてたんやろ!?」
えええぇええええ!!!!
「ほら!早う!」
(うぅ…コワイコワイ…)

「…ふーちゃん?」

「しーちゃんのあほ…!
わたし…怒ってるんやから…。でも、心配かけてごめん…しーちゃんがきっかけをくれへんかったら
わたしとエラはきっともうすぐ終わってた。」

「ふーちゃん…!よかった…よかったね…あたしも嬉しい。おめでとう。」
「うん…うん。ありがとうしーちゃん…。。」

「でも、今度エラに手を出したら、ここから一緒に飛び降りてもらうから。ね?」
「う…うん、気をつける。(ふーちゃんはやる…!ぜったいやる…こわっ!)」

「わたし、エラに贈るセレナーデ作るからピアノちょっと弾くね。
しーちゃん、もう暗くなってきたからフェンスの上に乗ったらあかんよ!」
「はーい!曲ができたらまた聴かせてな♪」

 



「そんなふうに、ひとを想ったりするんはどんな気持ち?
想われるのって…どんな気持ち…?」

 

 

『なぁーあ…キャリコママ、恋ってなに…?愛ってなんなん?』

 

『へぇ、なんや難しい質問やなぁ。せやなぁ…しーちゃんの初恋はアルヴィン兄ちゃんか?』
『アルにぃなんかきらいや!』
『アハハ!喧嘩でもしたんか?珍しい。』
『ふーちゃんはアリエルちゃんが好きってゆうてた。めっちゃ幸せそうに笑ってた。
でも、それ以上になんかめっちゃ辛そうやねん。時々泣きそうな顔してる。』
『それはしゃーないわ。あの子が好きになったんは兄嫁ちゃんやからなぁ。
でも、ふーちゃんの恋も悪いもんやないで。きっとあの子を成長させてくれる。』

『恋はな、好きなもんをどうしても欲しいと願ったり、
ただ好きでいさせてほしいと願ったりする気持ちや。』

『好きなもんを想って、楽しーてワクワクしてドキドキして足元なんかいっつもふわふわして…
その次は急に不安になって悲しくなったりイライラしてみたり、もう頭と心の中は大騒ぎや!
まるで世界も自分も変わってしまったようで落ち着かんくて自分を嫌いになったりしてな。』


『そんな気持ちはだいたいが自分勝手で相手の気持ちなんか関係ないとこにあったりするんや。
でもな、好きな相手が自分と同じ思いを自分に向けて想っていたら?途端に可愛くてかけがえのない
存在になる。振り回されてる自分もちょっと可愛いかもって思うようにな。』

 

『…愛はな、簡単に説明できんもんやけどな、これだけは言える。』


『ゆるし…?』
『なんも悪いことして謝って許してもらうわけやないで。でもな、愛を試して
悪い行いを重ねて赦しを求めるような行いは愚かやとうちは思う。
…って余計難しいことゆうてるな。まぁ、あれや、しーちゃん、自分のことは好きか?』

『好き…やと思う…けど、みんな最初はあたしのこと好きってゆうて近寄って来るけど、
そのうち“変な子”ってなって離れて行ってしまうんよ。そんなあたしを好きになってもええの…?』

『しーちゃんは、ジェシカに似て美人やからなぁ、そら人目を引いていっぱい近寄ってくるやろな。
でもな、よっぽど好きな相手やない限り、去っていく後ろ姿を追いかけるようなことはせんでええ。
そんな時こそしーちゃんの周りを見渡して側におってくれるひとを大事にするんやで。』

『まず、自分を好きになって、自分で自分の世話をできるようになって…
他人の存在を認めて…そっからやな。でもな、完璧な自分にならな愛を見つけられへんわけやないし、
愛してるってゆうたらあかんわけやないで。大好きやと感じてこみ上げるどうしようもない気持ちを愛してるって表現するんはええことやとうちは思う。』


『そうやってたら…あたしにもいつか見つかる…?キャリコママにとっての
ジェシカママみたいなひと…。』

『…そうやなぁ。しーちゃんはその特質でちょっと苦労するかもしれんけどな、
諦めずに求め続けることを忘れんかったらきっと見つかる!』

『しーちゃんが想うのと同じくらい…
いや、それ以上にしーちゃんを想ってくれるひとがきっとどっかでしーちゃんを待ってるはずや。』

 

 

 

(あたしには、曲芸しかない。)

 

 

(次の夢を見るために“ロマンスの達人”絶対に達成する…!)

 


 

Sunlit Tides

 

 






「うわっ…!!」

「あー!!くそっ!まだあかんかったか…!」
「キャリアは名外科医でも魔法はまだまだやな、アルヴィン!修行が足らへんで!」

「なぁ、アルヴィン。別に、しーちゃんの世話役に彼を選んだわけやないで?
それでも気に入らんか?しーちゃんの周りに自分以外の男がうろちょろしてんのが。
しーちゃんを女として見てんのか?アッブナイ兄ちゃんやなぁ。」

「気色悪いことゆうな!母親のくせに!…あいつはあのエイリアンちゃんに惚れてるぞ。」

「へぇ。」
「うちは結婚前にどんな奴と、どんな関係になっててもかまへんと思うからなぁ。
まぁ、アルヴィン、あんたがどう足掻いたって彼を他の誰かに変えるつもりはないで。」

「シャルもか…?シャルがあいつに興味をもってる。」
「ハハ!不機嫌の原因はやっぱりそれかぁ。止めたいんか?しーちゃんを。」

「…傷つくかもしれんのを黙って見てろってゆうんか。」

「アルヴィン、これ以上しーちゃんの人生に関わるつもりやったら、
妻子を捨てる覚悟で挑むんやな。…あんたには出来へんやろ?」



(傷つけたんは…おれや。)

 


「なぁ、父ちゃん、辛気臭い顔ぜんっぜん似合わへんで?」

「なんや、オーブリー、今日はデートやったんちゃうんか?」
「さっきまで会うてたけど、シャスタちゃんさースパのバイト行ってしもたんよ。真面目やわー。」

「んー、ぼくもスパのバイトしようかなー。美人眺め放題やろ?
シャスタちゃんと働けるし、ぼく可愛いからスパに来るセレブの癒やしになると思うんよなぁ。」
「ははは!お前そんな下心でバイトしとったら彼女に振られんで。」

「ねぇ!アルヴィン、オーブリーも!早く着替えなきゃパーティーに遅れるんやからね!」

「ごめん、ごめん。アリエル。すぐ用意する。」
「ちょ、父ちゃんやめてーや!セット崩れるやん!」

「憂い顔もべっぴんさんやけど、笑顔がいちばんすっきやでジェシカちゃん♡」

「ジェシカも、気にしてんのか?しーちゃんのこと。それともあの彼のことか?」
「彼のことはもういいのよ。キャリコが決めたことなんだし。」
「心配よ。あの不器用な娘ふたりが。ねぇ、もっと…別に結婚するまでここに居たって
良かったんじゃないの?って…ほんと子離れできてないの。ばかね。」
「面白いなぁ…ジェシカ、しーちゃんとは“シャイ”と“誘惑的”でしょっちゅう反発しとったのに。」
「特質は正反対でも可愛い娘にかわりないのよ…。あぁ…。」

「寂しいわ…双子の末娘たちがどんどん大人になってくみたいで。」
「うん…わかるで、ジェシカ。」

「そんな寂しいんやったらあと4人ほど子供作ろうか!?そしたら10人でキリがええで?どうや!」
「あはは!もう、それは多すぎ!」

「なぁ、ジェシカ、あの子達が助けを求めて来たらそん時は全力で助けたったらええ。
そうやろ?信じよう。不器用でも都会で頑張ってるふーちゃんとしーちゃんを。」
「ええ、そうね。ありがとうキャリコ…あなたが居て良かった…。」

 

 


 

「はぁ…ベロナール様…なんて素敵なの…♡」

「あ!もうこんな時間!!」

「いそげっいそげっ!!はじまっちゃう~!」

「おい!ライカ!階段をバタバタ駆け下りんなゆうてるやろ!料理にホコリが入るやろが。」
「ごめんなさーい!いい匂い♪カレーだ!どみちゃんのカレー好き♡
あのねあのね、ベロナール様がちょっとだけ生放送でツアーの宣伝するんだよ~!
今度また新しい衣装になるんだって!ベロナール様はいつもアイメイクしないんだけどね
ステージではいつも青いアイメイクですっごくかっこいいの、でね…」
「あーーもう、ベロナールうんちくはええからおとなしく座ってテレビ見てろ。」

「はぁあ…♡なんてキレイ…ベロナール様…会えたのライカうれしかった。。。」


(ハイハイ…まぁ、嬉しかったんやったら、ええか…。)

「あれ…?どみちゃん、見て見て。ベロナール様の左腕のブレスレット…?
どみちゃんの腕時計にそっくりだよ。」

「は…?」


「あぁ…似てるな…。」

 

会わなければ、

良かったんだろうか。

 

 

 


Like a Star -3- END


 

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